形成外科・皮膚科領域のホームドクターとして

私が大学を卒業後、東京大学医学部形成外科・美容外科学教室に入局し形成外科・美容外科の道を選んだのは、患者さんが元気に過ごす手助けをしたいという気持ちからでした。
福井を離れて形成外科医として経験を重ねるなかで、レーザー治療・エイジングケアに関心を持ち、皮膚について詳しく学ぶために母校である福井大学の皮膚科教室に入局しました。福井大学では皮膚科形成外科診療班として皮膚腫瘍を中心とした皮膚疾患や創傷治療について研鑽を積みました。
当院では整形外科医師とも密接に協力して診療を行いますので、より幅広い対応が可能です。形成外科・美容外科・皮膚科領域のホームドクターとなれるように、きめ細かい診療を提供してゆきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
佐藤 英(さとうすぐる)
形成外科について
形成外科とは、体の表面組織に生じた異常や変形、欠損、あるいは外見的な不満足に対して、 いろいろな手法や技術を用い、機能はもとより形態的にもより正常に、より美しくすることによって、生活の質(QOL) の向上を目指す外科です。
- きず
- やけど
- 体表のできもの
- ほくろ
- 眼瞼下垂
- 逆さまつ毛
- 顔面神経麻痺
- 陥入爪・巻き爪
- 下肢静脈瘤
- 腋臭症・わきの多汗症
- 耳の変形
- でべそなど
腋臭症
「腋臭症(わきが)」とは、ワキにあるアポクリン汗腺から分泌された汗が皮膚常在菌によって分解され、特有のにおいを放つ状態を指します。思春期にホルモンの影響で汗腺が成熟し、においが強まるため、多くは中学・高校生の頃に気づかれます。
当院では診察時にガーゼテストを行い、においの強さを軽度・中等度・重度に分類します。中等度以上で日常生活に大きな支障がある場合、手術を選択肢としてご提案しますが、軽度〜中等度でもにおいがつらく、部活動や友人関係に影響しているなど、ご本人の希望が強ければ遠慮なくご相談ください。
手術の対象は高校生以上です。局所麻酔に十分耐えられることに加え、汗腺がほぼ成熟しているため再発の可能性が低くなると考えられるためです。術式は剪除法(皮弁法)で、ワキの毛の生えている部分を約4 cm切開し、皮膚の裏側から原因となる汗腺を直接除去します。
局所麻酔下で手術を行った後は、合併症を防ぐ目的で3〜4日の入院をお願いしています。退院後も2週間ほどは腕を高く上げたり重い物を持ったりする動作を控えてください。手術前のにおいを10とした場合、術後は1〜2程度に軽減し、発汗量も3〜5程度まで減少すると報告されています。
主な合併症としては、血腫、感染、創部の治癒遅延、脱毛、瘢痕、嚢胞形成、再発などが挙げられます。
費用は保険適用で、自己負担3割の場合はおよそ7万円です。子ども医療費助成制度が適用される場合には自己負担をさらに軽減できます。
多汗症
多汗症とは、外気温の変化や精神的緊張とは関係なく、日常生活に支障を来すほどの大量の汗が左右対称に分泌される状態を指します。日本人では約10人に1人が多汗症とされ、そのうち59%がワキの発汗で悩んでいると報告されています。
当院ではまず問診を行い、症状の有無と重症度を詳しく確認します。ワキの多汗症に対しては保険診療で外用薬を処方しており、開始から20週間まで毎日塗布することで症状が改善する患者さんが増えることがわかっています。ワキの多汗症に腋臭症を伴うケースでは、外用治療によってにおいも軽減する場合があるため、腋臭症の手術に進む前に外用薬を試していただく場合があります。
手掌多汗症には外用薬(アポハイドローション)を処方します。国内臨床試験では、24週間の継続使用後に発汗量が50%以上減少した人が72%に達しました。ワキの外用薬と同様も、毎日の使用が大事です。
外用薬で十分な効果が得られない重症例や、外用薬の継続に抵抗がある方には、ボトックス注射による治療も行っています。効果の持続期間は部位や広さによって異なりますが、おおむね4〜9か月で、症状に応じて年に1〜2回の施術を行います。なお、ボトックス注射は自費診療となります。
ボトックス注射の費用
自費初診料 | 0円 |
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自費再診料 | 1,100円 |
多汗症ボトックス注射(両ワキ) | 48,400円 |
多汗症ボトックス注射(ひたい) | 66,000円 |
多汗症ボトックス注射(両手) | 93,500円 |
ボトックス注射の注意点
注射時の痛み、内出血、異所性発汗(約2%)など
耳の変形
折れ耳、埋没耳、副耳、耳瘻孔などの生まれつきの変形のほかに、ピアスやけがによって耳たぶが裂けた状態(耳垂裂) やピアスのあとにできたしこりなどの治療を行います。
顔面神経麻痺
顔面神経麻痺は、顔面神経の麻痺によって生じる表情筋の麻痺です。顔面神経麻痺には急性のものと陳旧性のものがあります。急性の顔面神経麻痺の多くは、ヘルペスウイルスの感染や神経炎などで生じます。これらの多くは薬物治療などの保存的治療で改善します。 当院では、その後も麻痺が残存してしまった陳旧性の顔面神経麻痺の治療を行います。
下肢静脈瘤
ぼこぼこ浮き出た血管が足やふくらはぎにある方は、下肢静脈瘤の可能性があります。下肢静脈瘤は静脈がつまって閉塞したり、静脈の弁が壊れて血液が逆流して生じます。 下肢静脈瘤の症状には重苦しさやだるさ、むくみがあります。さらに悪化すると、皮膚の色が黒くなったり、潰瘍ができやすくなります。 当院では、超音波検査で静脈瘤の状態を確認します。治療の適応がある場合には、血管内レーザー治療に対応している病院へご紹介いたします。